この悲しみの日々にさよならを告げよう

「悲しみに寄り添える人に救われる人達がいる」

最初にこの話を描こうと思ったきっかけとして

この二つを紹介します

 

レイプ犯を殺して絞首刑になった女性が最後に託した、母への手紙

 

 

吉野弘/夕焼け

 

この物語はこの手紙と詩の影響を強く受けています。

 

憎しみや悲しみは、

どうしようもなく、人の人生を狂わせる力を

持っていると感じました。

そしてその憎しみや悲しみが、

連鎖的に多くの憎しみや悲しみを

生み出していくんだと思いました。

恨みや憎しみは連鎖していくし、
そこから生まれる暴力や争いごとに
善も悪もないと思いました。

 

ただ、もしそういう連鎖を止められる人がいたら、
どんなことがあっても人を傷つけない人、
傷つけられない人なんじゃないかなって。

 

きっと吉野弘さんの詩のように

人の悲しみも自分の悲しみも背負ってしまう、
そんな人がどこかにいて、
そういう人の存在を、
忘れちゃだめだなって思って

この漫画を描きました。

 

物語の構想段階では300ページ近くあって、

それぞれの視点で物語が繋がっていく

オムニバス形式にしようと考えてました。

しかし賞に出す都合上、

そんなに長くページ数をとれないので

一人の視点で描く物語に変更しました。

 

この作品の制作にはかなりの時間苦悩がありました。

テーマがかなり複雑で、中途半端にしたら

絶対駄目なテーマだったので、

 

物語の構成や、イメージ

ラストのシーンは

かなり時間をかけました。

 

この作品のラストに夕日を持ってきたのは

背景で感情を伝える挑戦と

吉野弘さんの夕焼けのオマージュです。